1.7 男女別の至適透析量

透析百科TOPページ

1.7 男女別の至適透析量
最近、高い透析量は女性では死亡のリスクを減少させるが、男性では必ずしも死亡のリスクを低下させないと報告された。CMS(the Center for Medicare & Medicaid Services)データの解析によると、尿素除去率が増大するにしたがって、男性および女性のいずれにおいても死亡のリスクはほぼ同じ率で低下していく。ところが、図に示すように、尿素除去率が 65% を越えると、男性の死亡のリスクの低下程度は女性のそれよりも緩徐になっていく。例えば、女性では、尿素除去率が 70〜75% の場合には 65〜70% の場合よりも死亡のリスクは19%低く、尿素除去率が 75% 以上の場合には 65〜70% の場合よりも死亡のリスクは31% も低い。これに対し、男性では、尿素除去率が 70〜75% の場合には 65〜70% の場合よりも死亡のリスクは 10% 低いだけであり、尿素除去率が 75% 以上の場合にも 65〜70% の場合より 13% 低いにすぎない[1]。
DOPPS(the Dialysis Outcomes and Practice Patterns Study)データの解析でも同様の結果が得られている。
 
 

文献
1. Port FK, et al: High dialysis dose is associated with lower mortality among women but not among men. Am J Kidney Dis 43: 1014-1023, 2004.